■調査時
■税理士
主文
1原告らの請求をいずれも棄却する。2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第1当事者の求めた裁判
1請求の趣旨(1)原告株式会社西陣まいづると被告との間で,同原告が被告に対し,523万8500円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(2)原告株式会社川中と被告との間で,同原告が被告に対し,68万4300円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(3)原告河村織物株式会社と被告との間で,同原告が被告に対し,602万8000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(4)原告河合美術織物株式会社と被告との間で,同原告が被告に対し,49万円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(5)原告とみや織物株式会社と被告との間で,同原告が被告に対し,73万5000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(6)原告破産者株式会社丸池破産管財人Aと被告との間で,同原告が被告に対し,129万5000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(7)原告株式会社加納幸と被告との間で,同原告が被告に対し,171万6000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(8)原告株式会社スコープ・ココと被告との間で,同原告が被告に対し,431万2000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(9)原告万勝織物株式会社と被告との間で,同原告が被告に対し,285万7000円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(10)原告株式会社都と被告との間で,同原告が被告に対し,146万9580円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
(11)原告有限会社田口繁商店と被告との間で,同原告が被告に対し,298万3500円及びこれに対する平成12年6月28日から支払済みまで年五分の割合による財団債権を有することを確認する。
2請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第2当事者の主張
1請求原因(1)(当事者)
ア原告らは,いずれも西陣織帯等の製造又は販売を業とする会社である。
ただし,原告破産者株式会社丸池破産管財人Aは,本訴原告であった上記同様の株式会社丸池の破産宣告により,これを訴訟承継した破産管財人である(以下,上記訴訟承継前の原告も含めて原告らと表示する。)。
イ破産者株式会社山口源(以下「破産会社」という。)は,呉服類の販売を業とする会社であるが,平成11年11月1日,京都地方裁判所に自己破産の申立をし,同日,同裁判所より破産宣告を受け,被告がその破産管財人に選任された。
(2)(原告らと破産会社間の売買契約)
原告らは,破産会社に対し,平成11年9月29日から同年10月31日までの間に,下記の通り袋帯等の商品(以下「本件商品」という。)合計2780万8080円を売り渡した(以下「本件売買」ないし「本件売買契約」という。)。
原告株式会社西陣まいづる 523万8500円
原告株式会社川中 68万4300円
原告河村織物株式会社 602万8000円
原告河合美術織物株式会社 49万円
原告とみや織物株式会社 73万5000円
原告株式会社丸池 129万5000円
原告株式会社加納幸 171万6000円
原告株式会社スコープ・ココ 431万2000円
原告万勝織物株式会社285万7000円
原告株式会社都146万9580円
原告有限会社田中繁商店298万3500円
(3)(本件売買契約の錯誤無効)
ア破産会社は,経営不振に陥り,平成11年8月24日ころ,原告らに対し,支援を要請した。
イ原告らは,これを受けて,同年9月28日,破産会社支援目的で山口源研究会(以下「研究会」という。)を設立し,破産会社の開示した決算書類等の内容を前提とすれば,研究会の支援策によって破産会社の再建が可能であり,納入商品の代金確保が可能であると信じ,同研究会の決定に基づいて本件各売買をした。
ウ 原告らは本件売買の際,イの動機を破産会社に対し開示した。
エしかし,以下のとおり,原告らの事実認識には錯誤があり,実際には,支援策の実現及び破産会社の再建は客観的に不可能であった。
(ア)破産会社が原告らに担保提供を約していた売掛金及び在庫商品の多くは,既に金融機関に担保として差し入れられていた。
さらに,保証金や有価証券も金融機関に担保として差し入れられていた。
(イ)破産会社が原告らに開示した決算書その他の関係書類は,当初,原告らが見込んだ売掛金及び在庫商品の数字について,実際より大きく粉飾されていた。
(ウ)破産会社代表者は,自己破産申立直前まで,経営の継続意思を明らかにしていた。
(4)(原告らの取戻権ないし代償的取戻権)
ア上記のとおり,本件各売買は錯誤により無効であり,原告らは,本件各商品について所有権を有し,また,その売却代金について,破産会社に対する不当利得返還請求権を有する。
イ破産会社が破産宣告を受けたことにより,原告らは,破産財団に対し,本件商品の取戻権ないし本件商品が譲渡された場合の代償的取戻権を有することとなった。
(5)(被告の不当利得)
被告は,破産宣告後に,本件商品にかかる売掛金を回収し,また,在庫商品を他に処分して利益を得,これを破産財団に組み込み,原告らの取戻権ないし代償的取戻権を消滅させて,原告らに売掛金相当額の損害を与えた。
(6)(不法行為)
被告は,本件商品にかかる売掛金の回収及び商品処分の際,本件売買について原告に要素の錯誤があり,原告らが取戻権ないし代償的取戻権を有していることを認識しており,また,認識していなかったとすれば過失があった。
すなわち,1原告らも破産会社も商人である。
2本件売買は原告らの破産会社に対する再建支援策に基づくものであり,原告らは,被告に対し,本件売買の事情を説明した。3被告は法律の専門家である。
(7)よって,原告らは,被告に対し,それぞれ,本件商品売却代金相当額について不当利得返還請求権もしくは不法行為による損害賠償請求権を有するので,これら請求権が財団債権であることの確認を求める。
2請求原因に対する認否
(1)請求原因(1)は認める。
(2)同(2)は認める。
(3)同(3)について
同アは否認する。
同イ中,原告らが再建可能であると信じたとの点は否認する。
その余は不知。
同ウ,エは否認ないし争う。
(4)同(4)は否認ないし争う。
(5)同(5)中,「被告は,破産宣告後に,本件商品にかかる売掛金を回収し,在庫商品を他に処分し」たとの事実は認め,その余は否認する。
(6)同(6)は否認する。
3抗弁(錯誤の主張に対し)
(1)原告らの重過失
原告らは,信用不安の生じた破産会社を支援するため研究会を発足させたものであり,本件売買当時破産会社の経営悪化を知っていた。
(2) 善意の第三者
ア錯誤についても,虚偽表示や詐欺の場合の第三者保護規定を類推適用すべきである。
イ破産管財人は,目的物に対して差押債権者の地位に立つから,上記第三者に該当する。
ウ本件において破産債権者は多数であり,全員が悪意であることはあり得ない。
(3)信義則違反
原告らは,破産会社が破産宣告を受けた後,本件訴訟に至るまで一貫して本件売買が有効であることを前提に先取特権を主張していたのに,本件訴訟にいたって突然錯誤無効の主張をした。
4 抗弁に対する認否
(1)抗弁(1)は,破産会社支援のために研究会を発足させたことは認める。
その余は否認する。
原告らが錯誤に陥った原因は破産会社の欺罔行為によるのであるから,原告らに重過失は存在しない。
(2)抗弁(2)は争う。
錯誤については,第三者保護規定の類推適用をすべきではない。
また,破産管財人は,破産者の財産に対する外観を信頼した者ではないから,民法96条3項の第三者に該当しない。
また,これを認めると,表意者の犠牲の下に破産者が不正行為によって取り込んだ財産から配当することとなり,不当である。
(3)抗弁(3)は争う。
先取特権と錯誤無効の主張は,原告らの経済的利益を確保する手段としての選択的な主張であり,先取特権の主張を先行させたからといって,信義則に違反するものではない。
理由
1請求原因(1),(2)の各事実は当事者間に争いがない。2請求原因(3)(錯誤)について
(1)上記当事者間に争いのない事実及び証拠(甲1ないし3,5ないし7,12,13,18ないし20,23,25,28,乙2ないし6《以上,枝番を含む》,証人B,同C,原告株式会社西陣まいづる代表者本人)によれば,以下の事実が認められる。
ア破産会社は,明治6年創業,昭和23年法人化した呉服卸を業とする老舗であり,東京,札幌,福岡,仙台の各支店を有していたが,仙台支店は平成10年に閉鎖された。
仕入れ先はメーカーや原告ら産地問屋であるが,近年は,特に原告株式会社西陣まいづる(以下「原告西陣」という。)からの仕入れ量が拡大していた。
販売先は,全国展開のチェーン店や生協,大手小売店等であった。
資本金は1億5000万円,発行済み株式総数は150万株であり,役員で約70パーセントの株式を保有している。
イ破産会社は,昭和59年をピーク(年商95億円)として売上が漸減傾向にあり,平成4年から平成6年,平成10年,11年と赤字決算となり,平成11年2月期には年商が26億1700万円まで落ち込んだ。
ウ破産会社では,売上低減に伴い,信用不安をおそれ,販売先からの返品について,返品処理をせず,売掛金として計上しておくようになり(売掛金の架空計上),これが,平成6年2月期には12億7000万円にものぼった。
エ破産会社が平成11年5月に京都銀行に2000万円の融資を申し込んだところ,これを拒絶され,仕入れ先に信用不安が生じ,また,同年6月,信用情報誌に未償却不良債権,持越し商品の処理を行えば,確実に債務超過となるとの記事が出され(もっとも,採点所見合計点は,100点満点中58点であった。),一部の仕入れ先が警戒して商品仕入れに支障を来す状況となった。
オそのような状況下で,原告西陣の代表者Dは,このままでは,破産会社が倒産することにもなりかねず,そうなれば,原告西陣を始めとする仕入れ業者も販売先を失い,倒産スパイラルに陥るとして,破産会社を支援する必要性があると考えた。
Dは,同年6月23日,E公認会計士事務所(以下「E事務所」という。)に協力依頼をした上,破産会社代表者であったCに打診したところ,支援を受けるということであった(なお,破産会社として,正式に支援を依頼したのは,同年8月24日である。)。
そこで,E事務所ないしDは,破産会社に在庫一覧表や資金繰り表,銀行借入状況,担保設定状況等の資料の提出を求めた。
これは,同年7月24日ころに提出されたが,在庫と売掛の資料は提出されず,金融機関の担保設定状況も不動産以外は明ら
かでなかった。
なお,同年2月期の破産会社の決算書(甲20)においては,売上高が約26億1700万円,資産が約52億6500万円(うち,売掛金が約22億3700万円,在庫商品が約16億0800万円),負債が約50億5100万円(うち,借入金が約34億円,支払手形が約11億円),当期損失が約1億1000万円とされていた。
Cは,当時,不良債権は3億7000万円程度であると述べていたが,実際は13億円余りであった。
E事務所の公認会計士E及び税理士B(以下「Eら」という。)は,約10億円の資産目減り(不良債権7億,在庫目減り3億)を見込んで支援策を考えた。
そして,Eらは,同年8月29日付けで第1次案(甲7別紙6)を,同年9月1日付けで第二次案(同別紙7)を策定した。
第一次案では,年商2
4億円,売上利益率を26.6パーセントから28パーセントに上げることとされ,第二次案では,年商20億円,利益率を29パーセントに上げることとされていたが,いずれも,30パーセントないし50パーセントの出資あるいは債権放棄が前提とされていた。
カDは,他の仕入れ先業者にも呼びかけて,破産会社の支援体勢をつくることとし,同年9月10日には,5社が集まり,第一回の幹事会をE事務所で開催し,他の業者にも呼びかけて研究会を発足させることを決定した。
なお,同日ころ,破産会社は,委託商品が売上計上されたままになっているものが約10億9100万円あり,簿外商品が約8億円あることを明らかにした。
しかし,Eらは,実損は約2億円であり,10億円の資産目減りの予測値内であるとして,基本的な支援策の変更の必要はないと考えた。
Eらは,同月13日,上記委託商品等の修正を加えて,第三次案を作成し(甲7,別紙11),これが最終の支援策となった(以下「最終案」という。)。
これによれば,年商20億円,利益率29パーセントは変化がないが,増資あるいは
債権放棄が50パーセントとされ,貸借対照表上の資産中,売掛金が約22億円から約8億円に,棚卸商品が約16億円から約24億円に修正された。
なお,Cは,同年9月17日ころ,Dの質問に対し,さらに約1億1500万円の不良債権の存在があると答えた。
しかし,Eらは,これも,予測の目減り額の範囲内であると考えた。
キ同年9月28日,研究会の設立総会が,大口仕入先約29社が参集して開催され,上記最終案が了承され,研究会が発足した。
支援策の具体案は,会員債権者は同年8月末現在の債権額(売掛金と受取手形)の50パーセントを出資する,金融機関にも担保価値超過分について同様の出資ないし債権放棄を依頼する,破産会社の役員が私財を2000万円出資する,会員は破産会社に対し,安定的な商品供給をするというものである。
破産会社の役員も同総会に出席し,支援策に同意した上,今後再建に努力する旨を述べた。
Eらは,出資が予定通り完了すれば,6億円以上の自己資本の確保が可能となり,資産総額は24億円,負債総額は18億円となり,年商20億円,経常利益年7000万円が確保できると考えた。
そして,会員の債権保全のために
,売掛金及び商品について集合譲渡担保契約を締結することとされ,Cもこれに同意した。
なお,当時,既に,破産会社は,主力銀行である第一勧業銀行(以下「第一勧銀」という。)に対し,受取手形2億5000万円,売掛金約14億円,保証金3900万円等を担保として差し入れていたが,Cは,そのことを会員に告げなかった。
なお,上記研究会の設立総会の内容について,株式会社東京信用交換所は,破産会社が資金難から仕入先に50パーセントの債権カットを要請したとの内容の情報を流し,研究会の抗議によって,訂正記事を出したことがあった。
ク研究会は,同年10月2日,準主力仕入先20社を集めて集会を開催し,その結果,会員は49社(後に48社),債権額で約72パーセントとなった。
また,同日付けで,研究会と破産会社間の基本契約書(甲1)及び研究会会員と破産会社間の売掛代金及び商品について譲渡担保契約書(甲7,別紙36,37)が作成されたが,実際に,Cがこれらに署名,押印したのは同月20日過ぎであった。
ケその後,研究会会員は,破産会社に対し,商品を納入したが,原告ら11社中,同年10月20日以降も納入したのは5社であり,同年9月29日以降の取引規模が100万円を超える者は8社であるが,5社は,10月1日以降の売掛金を減少させている。
会員全体としては,9月29日から破産申立のあった11月1日までの間の商品納入売上総額は約8720万円,商品委託納入総額が約1億3891万円,同期間内の売上増加先が20社,約4055万円であるが,売上減少先は29社(約3441万円の減少)であった(甲11,別紙4の添付書類1)。
なお,会員以外の仕入先の中には,商品納入に難色を示す者が数社あり,研究会は,これらの業者に説得するも,同意を得ることはできなかった。
コ同年10月5日及び8日に,第一勧銀への上記担保が明らかになり,また,委託商品架空売上計上がさらに2億円増加することが判明したことから,Eらは,研究会の支援が可能かどうか疑問を抱き,改めて,破産会社を精査することとした。
そして,同年10月18日から20日にかけて精査した結果,有価証券も金融機関に担保提供されていることや商品在庫が約2億円不足していることが判明した。
そこで,Eらは,事業継続を前提とした貸借対照表ではなく,時価評価によって修正した平成11年9月30日現在の貸借対照表を作成したが(甲7,別紙39),これによれば,資産総額約37億円(うち売掛金が約3億7000万円,棚卸商品が約18億7000万円),負債総額約48億円(うち借入金が約35億円)であり,約11億7000
万円の債務超過であった。
そして,破産会社は,同月22日ころ,これを第一勧銀に示して,協力を要請したが,第一勧銀側は特段の返事をしなかった。
サ同年10月25日,研究会が開催されたが,上記精査後の財務内容が明らかになると,会員から破産会社の経営陣に対する強い不信感が表明された。
また,破産会社は,同日,第一勧銀から取引停止処分を受け,Cは,26日に弁護士に相談するも,自己破産申立の道しかない旨を述べられて,自己破産申立を決意し,同日,役員会を開催して,自己破産手続をとることを決定し,同年11月1日,破産申立をして,同日,破産宣告がされた。
(2)上記認定事実に照らして検討するに,原告西陣ら研究会の中核的業者は,呉服の売上減少傾向の中,有力販売先である破産会社の信用問題が発生して,債務超過の信用調査結果も出されるなどの状況下で,このままでは,ほどなく破産会社が倒産することを予測し,そうすれば,仕入れ業者も有力販売先を失い,連鎖倒産の危険があると考え,仕入れ業者が支援して,破産会社の債務超過状態を解消し,経常利益が確保できるようにしたいとの考えから,研究会を発足させたものである。
もっとも,このような危機意識は,破産会社との取引が多い大口仕入先ほど強いものがあったというべきである。
Dらは,Eらの協力を得て,支援計画を策定したのであるが,その際,破産会社の直前の決算期である平成11年2月期の決算内容を基礎とし,これから,
10億円の資産目減りを見込んで,仕入先業者の50パーセントの増資または債権放棄あるいは金融機関(破産会社の借入額は,第一勧銀が約25億円,京都銀行が約10億円)の同様の協力を前提として(証人Bの証言),負債超過状況を解消し,経常利益が出る計画を策定したものである。
そうすると,上記支援策が効を奏するかどうかは,主として計画どおりの出資あるいは債権放棄が可能かどうか,しかも,金融機関の協力を得られるかどうかにかかっているというべきである(その上で,予定どおりの商品納入が得られ,これが,予定どおりの利益率で売却されることが必要である。)。
しかし,上記の点について,見通しは極めて厳しいものがあることは,破産会社に既に信用不安が生じており,2年連続の赤字決算を計上していることからも,商
人である原告らは,理解していた筈である。
したがって,原告らは,支援策が実行されることを期待して,本件商品納入に応じたところ,結果的に,これが実行不可能となったとしても,錯誤に陥った結果であるということはできない。
このことは,研究会の会員以外の仕入れ業者が破産会社への商品納入に難色を示し,会員の中でも相当数の業者が納入を減少させていることからも裏付けられる。
原告らは,破産会社の決算書等の売掛金及び在庫商品の数字について錯誤があったとする。
確かに,決算書の売掛金中には多額の不良債権が含まれるなど実態とは相当乖離しており,委託商品の架空売上計上や簿外商品の存在などが後に明らかになってきたことは事実である。
しかし,最終案策定以前の段階では,Eらは,上記のことは当初から見込んだ資産目減りの範囲内であるとして,基本的な計画の変更の必要を認めなかったのである。
最終案策定後に委託商品架空売上計上が約2億円増加し,商品在庫が約2億円不足していることが明らかとなったが,その場合でも,出資あるいは債権放棄が予定どおり実行され,金融機関の協力が得られれば,支援計画の遂行は,計数上は可能であったといえる。
原告らは,売掛金,在庫商品,保証金,有価証券の一部が金融機関に既に担保に提供されていたのに,原告らにこれが知らされていなかったとする。
確かに,そのとおりであって,原告らとしては,商品納入取引に伴って発生する債権の担保として売掛金や在庫商品に譲渡担保を設定することを期待し,これによって商品を安心して納入できると考えていたことは推測できる。
しかし,これは,あくまで納入商品の債権担保としての見込みにすぎず,支援策の成否とは一応別個のものである。
また,破産会社の如く財務内容が悪く赤字決算を続けている場合には,売掛債権や在庫商品等について既に金融機関等の債権担保とされていることが多いといえる。
したがって,この点の見込み違いを再建可能性についての錯誤とすることはできない。
原告らは,また,Cの経営の継続意思を問題とする。
しかし,Cら破産会社の役員も,経営継続の意思は有していたが,上記認定の事実経緯から自己破産申立を決意したのであるから,同人の事業継続意思について錯誤があったとすることはできない。
(3)なお,仮に,原告らが,支援策が実行可能であり,これによって,破産会社の債務超過が解消されると信じて本件商品を売却したところ,そのように信じたことに錯誤があったと解する余地があったとしても,また,納入商品売却代金が破産会社の売掛代金や在庫商品に対する譲渡担保設定によって担保されると信じて本件商品を売却したところ,そのように信じたことに錯誤があったと解する余地があったとしても,上記説示したところによれば,いずれも重過失があるといわざるを得ない。
3よって,その余を判断するまでもなく,原告らの本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条,65条を適用して主文のとおり判決する。
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